地域の木材を使う。〜伐採から製材そして家へ〜

DSC_78232.JPG低炭素社会を目指し、地域材を使うことを推進したいです。

  地域の木材を使うこととは・・・

森林組合発! 地産地消の家づくり ドキュメント


地域の木材をつかうこととは?


かけがわの森林 と かけがわの木造住宅 をつなぐこと
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 近年、「食」の安全・安心に対する市民の意識の高まりとともに、生産者と消費者の信頼関係や、フードマイレージを少なく、地産地消推進、といった考え方が広く認知されるようになりました。
 では「住」についてはどうでしょうか?「地域の風土で育った木を、同じ地域で使うほうがよい」とされながらも、残念ながら今は、地域の木材を地域で十分に使っているとはいえない状況です。
 充実しつつあるかけがわの森の木を活かすため、また一本一本木を植え育ててきた先人の努力に報いるため、今後地域材の活用を推進していけたらと考えています。また、そのことで森林所有者と建築主さんの交流を生んだり、都市に住む人の森林や木材に対する理解を深めたりするきっかけとなればと考えます。
 具体的には次のことを推進してまいります。
  1. 低コストで素材を供給できる森林づくりをさらに進めること。(境界の保全・間伐の推進・作業路・技術の継承と開発)
  2. 地元の製材さんや建設会社さんと地産地消の家づくりネットワークをつくっていくこと。
  3. 材木の適正な品質を確保すること。
  4. 地域材の住宅についてPRをつづけること。 






森林組合発! 地産地消の家づくり ドキュメント

ここでは森林組合に関係する方々を中心に実際に行なわれた「地産地消の家づくり」のとりくみについて紹介しています。

Vol.1 S邸「自分の山の木で家を」


はじめにこのお客様から言われたことは「自分のうちの山の木で住宅のリフォームをしたい。但し間伐材の売り上げでリフォームの材料費はゼロに収めてくれ!」ということでした。このコンセプトに基づいて進められた山の伐採作業からリフォーム現場に材料が届くまでを作業順に並べ、紹介しています。

@調査選木編
山の作業はまず森林の調査から始まります。所有境界、立木密度、樹種、林齢、胸高直径、樹高等を調べます。今回伐採する山はスギ・ヒノキの六十九年生。手入れが行き届いていて、木の素性がよい。既設の作業路のおかげで搬出コストは抑えられそうです。間伐と言っても、これらの木は立派な成木。なんとか材料以外の丸太の売上げで、リフォーム材の製材コストはまかなえそう。

調査状況
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調査項目の中で重要なもののひとつが立木密度です。密度調査には様々なやり方がありますが、「釣竿法」は簡単で素早くできます。
〈やり方〉山の中で5.64mの釣竿をクルッとひとまわしします。竿に当った木の本数から5.64×5.64×3.14で100m2当りの密度がわかります。何回かやれば山全体の立木密度を推定できます。

調査が終わると選木作業に移ります。調査したデータから適正な間伐率を算出します。その後、伐採する木を選んでマーキングしていきます。当然、リフォームに使う材料となる木はその中に含まれます。木を見る目が必要です。
選木状況 
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お施主さんの山立会
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「この木を使ってこだわりの家を建てたい」とお施主さん。この日はお父様も一緒でした。「木が大きくなった」と感慨深げに話されました。


森林データ  どんな山から丸太を出すの?
use009.jpg面積2.5ha 
立木密度1200/ha 
平均胸高直径 28cm
スギ:ヒノキ=1:9 
間伐率20% 緩傾斜地
A作業路改良・伐採編 
次の作業は既設作業路の改良作業。潅木が茂り、路面がぬるぬるべたべたの作業路を大型トラックが入れるように改良し、いよいよ伐採作業に着手しました。

作業路改良作業
既設の作業路には多くの潅木が茂り、また路面はべたべた・ぬるぬるで、しかも雨水が走って、掘れたところがある。後の作業を効率よく進めるため、表土の入れ替えや、簡易的な横断溝を設置するなどし、作業路の改良作業を行いました。結果、大型トラックが進入できる道となりました。
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山初めの式
雌竹を二つに折って束ね、それぞれの節にスギの葉を挿し、お神酒を注いで、お飾りを作りました。お飾りの前で、山主さんと一緒に、山の恵みに感謝するとともに、これからの作業の安全を祈りました。その後、職員の長嶋が初めの一本を、山主さんが次の一本を伐採し、山初めの式を結びました。
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伐採作業
山初めの式を終え、いよいよ本格的に伐採作業に入りました。最近多くやっている切捨ての間伐と違い、木が大きく、気を使います。安全を第一に、そして効率よく。次の集積作業のことを考えて伐採を行います。木によっては他の木に掛かり、うまく倒れません。技術と体力を駆使し、作業を進めます。
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B造材・搬出編 
伐採作業後、およそ二ヶ月の葉枯らしを経て、いよいよ造材・搬出作業に入ります。丸太はリフォーム材として使用するもの、市場に売却するもの、二つに分けられて造材されます。そして売却した売り上げが、伐り出し費用や、製材費用に当てられます。

製材屋さん・建築屋さんが山を視察
リフォーム材の製材、加工を担当される方が、伐採して葉枯らし中の山を、視察に訪れました。これらの木が家の形になるのはもう少し先・・・
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造材作業
造材とはまさしく材を造る作業。一本の立木を建築材料となる丸太にする。枝を払ったあと、木の直径や、曲がり具合、節の多さなどから必要な丸太の長さを決め、チェンソーで慎重に玉切りをする。
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グラップル・スイングヤーダの活躍
作業は林業用の機械を使って行う。よく目にする建設機械を林業用に改造してある。丸太を掴んで整理・はい積みをする「グラップル」。二胴のウインチを備え、材の引き寄せを行う「スイングヤーダ」二台が活躍しています。
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搬出作業
集積・はい積みした丸太をトラックに積み込んで、山から搬出。事前に作業路を改良しておいたため大型トラックが作業路に進入し積込・運搬作業を行っています。行き先は、売却するものについては浜北にある森林組合連合会の原木市場に、リフォームの材料については地元の製材会社に運ばれます。
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C製材・乾燥・加工編
いよいよ丸太は山から出て製材所へ。丸太は角材となり、乾燥、加工の工程へと進んでいく。山では木目は丸太断面しか見えなかったものが、製材所の帯鋸を通ることで板目、柾目と呼ばれる美しい木の肌を初めて見せてくれる。主に柱や土台となるヒノキは、さわやかな香りとともにうすい桃色の肌を見せ、梁や桁となるスギは、落ち着きのある香りの中で、赤みと白太のきれいなコントラストを現す。

image050.jpgトラックは丸太を乗せ、狭い林道を下っていく。広い平らな道を走るのとは違い、神経を使います。運転手の技術と経験がものをいう。安全運転で無事運んでいただきました。


image055.jpgimage056.jpg製材工場で丸太から、必要部材を製材する。台車に乗った丸太が帯鋸を通過すると、きれいな木肌が現れる。写真はスギの桁を挽いているところ。


PICT5739.JPGPICT5735.JPG製材が終わった材を「さん積み」して自然乾燥。重さ、肌触りから乾燥具合を判断し、乾いたものから結束して加工場へ運ばれます。


加工場を見学させていただきました。今はプレカット工場での加工がほとんどの時代。加工中の大工さんも久しぶりにかんな掛けをしているとのこと。各部材には番号がふられ、棟上を待つ。
それにしても、なんともきれいな材料です。
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D上棟式・建築編
近くの山から調達された丸太は、製材、乾燥、加工の工程を経て、いよいよ上棟式に臨みます。ここに既存の建物から外された、再利用できる材料が加わって、新旧の材料で構造体が組み上がっていきます。この家を「新築」ではなく「リフォーム」と呼んでいたのは、そのような理由からです。

PICT6249.JPG最終作業が行われている加工場。新旧の材料が出荷を待っている。丸太は柱、梁、桁、板となって、これからそれぞれの役割を担うことになる。



PICT6289.JPGさまざまな工程を経て木材が住宅に変る瞬間。
クレーン車で吊られ、組み上がった材料の上に最後に上がる棟木は、旧宅の材料。ヤニ(脂)をたっぷり含んだ材は百年以上経ってもカチカチ。
また次の百年を支えていくことになる。



PICT6288.JPGPICT6292.JPG山の立木から住宅までの流れを一連で見ることができたのは初めて。私たちが伐らせていただいた木が、多くの技術者の手を経て住宅になっていくのを見るのはとても感慨深い。



建築作業は着々と進む。下の写真は、左が杉の羽目板外壁。中央は新旧の松の棟木の重なり合い。右は桧の無節の階段板。
木目と白い塗り壁のコントラストがやさしく、とてもいい雰囲気。そして建築現場には木のいい香りが漂う。
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E最終回 メッセージ編
山に立つ立木から丸太へ。製材、加工、乾燥を経て、土台、柱、梁、桁。そして家、住居まで。五回にわたってお届けした地産地消の家づくりプロジェクト。「最終回」は、お施主さま一家からの「住み始めて一年後のメッセージ」をお伝えします。

奥様より
木のぬくもりいっぱいの家に住み始めて1年が過ぎました。住んでみて一番感じることは、木は形を変えても生きているんだということです。夏と冬では、玄関などの扉の閉まり方が違い、一瞬、建てつけの問題?!と思ってしまいますが、季節によって、木が伸びたり縮んだりするんですね。冬になり、あちこちで”ピシッ”という音がしています。静かな部屋に鳴り響くと少しびっくりしますが、これもまた木の生命を感じさせられます。これから我が家の冬の風物詩になっていくのでしょうか・・・。
大工さんが苦労して入れてくれた断熱材、そして木の特性が生かされたこの家は、何もせずに夏はヒンヤリ冬はホカホカ。心地よく毎日を過ごすことができています。一年経ちましたが、期のにおいもまだほんのり残り、床の色はだいぶ濃くなってきました。これからどんな味わいになっていくのかも楽しみです。

3歳の娘さんより
ころんでもいたくないよ。よるもぐっすりねむれるよ。
木のおうちだーいすき!!

お施主様より
「家の地産地消・持続可能な200年住宅」をコンセプトに、地元工務店、製材会社、森林組合の方々にお付き合い頂き、構想から3年かけて完成した我が家。あれから一年、今改めて思うことは「やっぱり木の家が最高!!」ということです。
環境問題、山林の荒廃、林業衰退など、森林・木材に関していろいろな社会問題が取沙汰されていますが、理屈抜きに木の家は、家族に“和”の空間・温もり・心をもたらしてくれています。 「和を以って尊しと為す」 この木の家は、私をその原点にいざなってくれています。 日本人のDNAである“和”の心を呼び覚ましてくれる、こんな木の家が日本中いっぱいに広がることで、和の心に溢れた扶助の社会、温かく明るい世の中になればいいと思います。

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Vol.2 M邸「その木は家族を包む家として生き続ける」

萩間地区で新築を予定されていたMさんは、家の前に立っていた100年を超えるヒノキを、新しい家の材料に活用されました。

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森林組合でこの木を伐採させていただき、葉枯らしの期間を経て、木は製材所に運ばれていきました。その後は製材所から戻り、いよいよ柱として次の一生をスタートさせました。 元玉は玄関の七寸の大黒柱に、二番玉は節の模様を活かして床柱に。二本の柱が新築の家の中で、存在感を示していました。









Vol.3 O邸「スギ・ヒノキで一間建て増し」


最終消費者に使っていただくためには・・・

掛川市森林組合のある職員が実家を一間建て増しました。「森林組合職員としてはやっぱりスギ・ヒノキを使わないとなぁ・・・」と考えたこの職員、地元の工務店を頼んで県産材をたっぷり使った部屋を完成させました。
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天井はおおいがわのスギ
本棚の板も無垢のスギ板(合板より弛まない)
床は富士のヒノキ

 森林所有者の山をお預かりし、育林を行う森林組合としてはやはり最終消費者にスギ・ヒノキを使ってもらうことが大切です。しかし、ただ「スギ・ヒノキを使ってくれ〜」と叫んでも、なかなか難しいのです。
 木材の品質を保証するとともに、部屋に木目がなじむ、洗練されたかっこいいデザインでなければエンドユーザーは選択しないのではないかと思います。
育林に携わるものとして、かっこよく地元材を使っていただける工務店を応援していきたいです。

本リフォーム 株式会社ハイホームス(藤枝市)